11/26 グローバルカフェ:「トランプの米国と世界」をレポート

Update お知らせ グローバルカフェ

2016年11月26日
グローバルカフェ シリーズ「国際情勢を読む」~米大統領選後の新政権と世界~
スピーカー:日本経済新聞論説副委員長・実哲也氏
講演タイトル:「トランプの米国と世界」

 

 「反エスタブリッシュメント」がキーワードとなった米大統領選挙が終わり、トランプ氏が大統領に選ばれたことで、彼の動向、新政権に世界中が注目している。それは日本でも例外ではなく、ここグローバルカフェの参加者からは様々な声が聞かれ、スピーカーと彼らとの間では活発な議論が行われた。
2時間半という時間の中で語られた内容全てを書き記したいところだが、今回は参加者の関心が最も高かった点からピックアップしてまとめたいと思う。

 

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Point1.トランプ氏とはどういう人物か

 「大統領になる事は目的ではなく選挙に如何にして勝つか、戦略的なことしか考えていなかったのではないか」、「陰謀論者なんて声もある」等、参加者の関心が高かったのはトランプ氏個人についてであった。
トランプ劇場とも称された彼の型破りな発言を受け、不安に思う人が多い印象だ。

 トランプ氏の根底にあるのはビジネスマンとしての成功と交渉における絶対の自信だ。
全てを取引と捉え、「相手からみて予測不能な国になるべし」と、自慢の交渉術をもってしてビジネスの様に国を運用することを考えている。政治的信条は希薄で、経済ナショナリズムで、人権問題等の倫理観においては、彼自身の発言からも伺えるように、クリントン氏よりは遥かに重要視していないと言えるだろう。

 スピーカーである実氏は彼の政策よりも彼個人の性格に危うさがあると指摘している。
アメリカでも「怒りやすいナルシスト」と心理学者に分析され、ワシントンポストのチームがトランプ氏の子供時代から今に至るまでのありとあらゆる関係者に尋ね、トランプ氏の人間性を調べているというのだから、アメリカ国内でも彼の性格が大きな問題に繋がることを案じているようだ。

 

Point2.トランプ氏勝利の理由

 トランプ氏の勝利はマスメディアの反応から察するに、多くの者にとって予想外の結果であったに違いない。
一概に「何故彼が大統領選を制したのか」の問いに対する明確な解を出すのは難しいが、下記の要因が大きく関係しているとのことであった。

1)変化に賭ける国民性=3回連続同じ党が当選したのは戦後1回のみ。

2)経済の不信感や現存の政治に対するフラストレーションの更なる高まり=反エスタブリッシュメント

3)不人気候補同士の消去法的選択(クリントン氏不支持:54%/トランプ氏不支持:58%)

4)多様な支持理由:雇用・賃金不安、反不法移民のみが支持理由ではなく、テロ不安や銃規制、中絶規制の緩和など様々で一枚岩とはいえない。米国内にある地方対都会、白人対非白人の間にある分断は事実で、それは支持理由にも浮かび上がっている。

 

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Point.3 トランプ氏の政策

 トランプ氏の掲げる政策を一言で言うならば、「アメリカ経済とアメリカ国民のための政策」と表すことができるだろうか。彼が一番に目標としているのは『不公平な貿易』の解消であり、このキーワードは講演中に何度も登場した。
対米貿易黒字国に対して、多少の圧力をかけ、脅し効果を使ってでもアメリカにとって、2国間の「良い取引」へ働きかける可能性は大いにあるとのことだった。
(1)TPP離脱(2)NAFTA再交渉又は撤退(3)中国を為替操作国に認定(4)米企業の工場の海外移転を抑える税制など、通商政策の大転換を行い、露骨にアメリカ有利の政策へと転換していくのではないだろうか。

 経済政策以外における政策はトランプ氏自身が現在勉強中とのことで、あまり語られなかった。
例えば対中における政策は為替操作以外のことはあまりにも空白な部分が多いため、今後のトランプ氏の人事でアジア担当が誰になるかで政策の方向性は全く異なってくるだろうとのことであった。

 

スタッフ(福田)の感想

 スコットランドの独立運動やイギリスのEU離脱、主流であったグローバリズムに対し反旗を翻すように、世界のいたる所でナショナリズムへの動きが目立っているように感じていた今日。
そんな中でのトランプ氏の当選は、世界が確実に変化を求めていると確信した瞬間でもあった。

 日本にとって「相手からみて予測不能な国になるべし」と明言する大統領が率いる国は、同盟国と呼ぶにはあまりに不透明かつ不安定で、その不安が参加者から見て取れたように、国民全体にも広がっているのかもしれないと感じた。

 トランプ氏が国内投資回帰を行って、果たして昔の強いアメリカに戻るだろうか。
確かに、企業が海外生産を行うことで、内部の雇用の絶対数が減少した事は間違いない。
しかし、今後ITにとって変わられる仕事の多くはその比ではないだろう。そしてそれは日本でも例外ではない。
パワーバランスの崩壊秩序の流動化、変わりゆく世界の中で日本はどうするべきだろうか。
トランプ氏の当選は経済、安全保障、外交等ありとあらゆる方面で政策を抜本的に考え直す好機となるかもしれない。
アメリカに対し、同盟国としての絶対的信頼が僅かでも揺らぎつつある今こそ、日本の今後の在り方を考えられたなら…アメリカの核の傘に依存している現状を少しでも解消できたならば、今よりは一つの国として、より自立できるのではないだろうか。

 

(文責:事務局長・福田聡菜)

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